ホイール強度試験


概要

ホイール(wheel)は大変重要な役割を果たしています。
特に車体加工分野では、重量増を伴う加工が多く見受けられますので、その重量を支えるホイール(車輪)の負担も大きくなっていきます。
ここでは軽合金製ホイール(一般的にアルミニウムやマグネシウムなどの軽量金属)の強度評価試験についてご紹介します。


ホイールに求められている基本性能

ホイールに必要な機能は、垂直方向と横方向にかかる荷重を壊れることなく支えること、駆動力や制動力など、走行時に発生するさまざまな力と、車両の進む方向を制御するための力(操舵力)をタイヤを介して地面に伝える役目を担っています。
このため、タイヤを保持するリムの輪郭、寸法/形状が正確で、周辺部品(ブレーキキャリパーなど)に干渉しない形状であること、寸法精度がよく、適切な剛性を備え、長年の使用に耐える耐疲労性を有することが求められています。


ホイールの使用材料

ホイールの材料は、鋼板製と軽合金等に大別されます。

 1) 鋼板製ホイール
鋼板をロール機、プレスなどで成形し、溶接などで接合したものです。
大量生産で経済的に製造できることから、多くの量産車種にて採用されています。
材質は安価な冷間圧延綱から、軽量化を目的として強度の高い高張力鋼板などが採用されています。

 2)軽合金ホイール
材質はアルミニウム合金が多く用いられ、マグネシウム合金も用いられることがあります。
アルミホイールはデザイン性の多様化と軽量化、高級化志向によって、標準装着車が増加しています。製造方法としては、鋳造法や鍛造法、塑性加工法が用いられています。
トラック/バス用のアルミホイールも、軽量化への要求と高級化志向によって、鋳造品、鍛造品、伸展材をプレス加工した製品が開発されています。


ホイールの安全性

ホイールは重要保安部品の取り扱いとなっており、堅牢でなければなりません。
車両速度が高速化し、小さな欠陥や歪みでも重大な事故の原因につながることがありますので、安全に関しては十分に考慮が必要です。

日本では、JIS D 4103 「自動車部品-ディスクホイール-性能及び表示」、保安基準別添2 「軽合金製ディスクホイールの技術基準」、「二輪自動車用軽合金製ディスクホイールの技術基準」、「トラック及びバス用軽合金製ディスクホイールの技術基準」としてホイールの強度と安全性の評価基準が定められております。

これらの技術基準に適合したホイールには「JWL」、「JWL-T」マークの記号が刻印されます。


車体加工分野での軽合金製ホイールの抱える問題点

車体加工を行う車は、たいていが車重の増加を伴います。
ホイールベースを延長(リムジン加工)したり、形状の変更、内装の加工、特殊装備の設置などによって大幅に車重が重くなることが多く見られます。

加工後の車両総重量が2500kg~3000kg近くになることも数多くあるようです。

このときに問題になってくるのが、ホイール(車輪)が重くなった重量を支えられるのかどうかということになってきます。特にアルミホイールなどの軽合金は鉄より強度が劣るものですので、大変心配なものです。

アフターパーツとして販売されるホイールの確認試験では、限定条件といってホイールのナット穴の数(たとえばPCD114.3の5穴)が採用されている車種の中で一番重い重量の車両に合わせた負荷を与える試験が行われています。

ホイールの裏側などに690kgなどと書かれているのが限定条件荷重での試験が行われたことを示しています。

これは不特定多数に向けて販売されるパーツのために、採用されている穴数の中で一輪あたりの一番大きい重量の車両にあたる負荷をかけて強度を確認したことを示すものです。

しかし、車体の加工を行った車両では標準車よりもさらに大きな重量がかかる事態も出てきます。
そこで、改造車の重量に合わせた負荷をかけてホイールの強度を確認したいと思われる時もあるでしょう。

負荷の軽い試験しか行っていないホイールに重負荷をかけることによる、疲労や破損、故障などの事故が心配されるからです。

もし、これらの確認をしないで乗り続けることによって事故につながる事態となったら大きな問題となってしまうことも考えられます。

それでこうした事故や故障に対して技術基準に基づく強度確認をとることによって、製作者として安全性の確保をする責任を果たすことができると考えています。


軽合金製ホイールの技術基準に基づく強度試験

この試験は、「軽合金製ホイールの技術基準」に基づく強度試験で、重量増加が伴う車体加工を行った車両の荷重、安全を考えた余裕分を加えた負荷荷重をかけて技術基準に定められる試験方法で強度確認を行うものです。


  • 技術基準に定められる軽合金製ホイール試験には三種類あります。
  1. 回転曲げ疲労試験
    ディスク部の耐久性確認を主な目的とした試験で、カーブ走行時に横方向にかかる荷重への耐久性を判定します。
  2. 半径方向負荷耐久試験
    リム部の耐久性確認を主な目的とした試験で、直進方向走行時にホイールにかかる上下垂直荷重の耐久性を判定します。
  3. 衝撃試験
    実走行時の路面の段差、突起物などの障害物への乗り上げを想定し、衝撃強度の確認を主な目的とした試験で、一定の高さから錘体(おもり)を落下衝突させ、リム部の変形度合いや一定時間内の空気漏れの有無等を確認します。


  • 乗用車、貨物車のそれぞれに試験方法が異なっています。

乗用はJWL規格、貨物用はJWL-T規格となっています。
ホイールに厳しい条件をかけて規定の回転数量や衝撃、曲げ負荷を与え、破損や故障がないかどうかを調べるものです。

強度が数値で出るものではありませんが、技術基準に定められる判定方法で合否が決まります。

JIS規格にも、JIS D 4103 「自動車部品-ディスクホイール-性能及び表示」という項目がありますが、自動車用に定める技術基準と大変似通った試験評価内容です。

JWL規格と、JWL-T規格それぞれの確認試験が可能です。

メルセデスベンツ純正ホイール、社外メーカーホイールなどの試験実績がありますが、純正ホイールは特殊取付形状があるため、ボルト・ナットなどに加工が必要な場合があります。


試験依頼について

  • 試験に必要な準備品


  • 乗用車用途
  1. 強度を確認したいホイールにタイヤを取り付けたものを三本
  2. ホイールのみを一本
  • 貨物車用途
  1. 試験品はタイヤを組み付けたものを三本

※各々、タイヤはその車両に取り付ける最大のもの(幅や大きさ、荷重指数など)が必要です。
※上記準備品以外のものをご準備いただく場合もございますので、予めご了承ください。


  • 注意事項
  1. 試験に用いたホイール、タイヤは継続使用ができなくなります。(厳しい試験のため金属疲労などによる破損の可能性大)
  2. 試験荷重は、ご依頼者様が決めていただくことになります。(試験荷重は最低でも使用予定のタイヤ荷重指数以上であること)


  • 試験期間
    試験日数は2~3週間必要です。

※ご依頼にあたって依頼者様のお名前で試験成績書を発行するために、規定の申込書に御社の捺印が必要となります。


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